【住所】 諫早市永昌東町9-19
【電話番号】 0957-24-3899
【URL】 http://noeru.b1388.jp/
扉を開けると、アジアンテイストあふれる洋服や雑貨がところ狭しと並べられている。ストールや洋服、アクセサリーにバッグ、店内はまるで玉手箱をひっくり返したようだ。
そんな店内を進むと、カウンターの中で、いつも笑みをたたえて迎えてくれる人がいる。
ここに訪れる多くの人から、ノエルママと呼ばれる大賀佳代子さん。この店のオーナーだ。
エスニックブティック&珈琲「さらい ド 野絵瑠」をオープンして約30年。
店名についている「さらい」はペルシャ語で「小さな宿」という意味だが、ノエルママは「宿というより集会所や公民館みたいなお店になりたくて」と微笑む。
そんなノエルママの思いを、客達は引き継いでいる。
特に目的がなくてもここにふらっと立ち寄ると、なぜか見知らぬ者同士であっても自然と会話が弾む。知らぬ間につながり、縁を紡いでいく。
訪れる人たちの年齢層は幅広い。若い人からは相談を持ちかけられることも。
「きっとこの空間が安心感を与えるのね」とノエルママは言うけれど、ノエルママの存在感が来る人を優しく大きく包み込み、何とも言えない安心感を与えているのだと思う。
「ここまで長くやってこられたのは“人”のおかげ」
そう言い切るノエルママだが、ノエルママに支えられている人もまた多いはずだ。
こんな風に書くと、野絵瑠もノエルママも昭和の香りがするノスタルジーな雰囲気だと思われるかもしれないが、意外なことに情報発信の手段は「今どき」だ。
お店のブログを軸として、ツイッターやfacebookも活用している。
「ブログは自分の日記のようなもので、時々読み返したりもしてるのよ」
商品の入荷情報から日常の出来事まで、話題には事欠かない。
最近の主な情報発信源はfacebook。
夜な夜なアップされる手料理の画像を楽しみにしているファンは多く、ネット上の友達が、いつしかリアルな友達やお客様に変わっていくのだという。
「そりゃあネットもいいけど、やっぱり人間は直接的なつながりが必要。人間ってそういうもんでしょ?」
店は諫早駅前のお茶の間通り商店街にある。
諫早駅から歩いて3分という立地条件から、観光客も多く訪れる。
ある日、「うちに寄った観光のお客様が、駅にもバスターミナルにも観光ガイドマップがないって困ってるよ」と、ノエルママから連絡を受け、すぐにガイドマップを補充したこともある。
そういう意味では、まさに現場の声(観光客の声)を拾い上げる貴重な場所でもある。
もちろん、野絵瑠のカウンターの一角にも、諫早のお店の情報やイベントのチラシが置かれている。
ノエルママの笑みに導かれ、ふらっと寄る諫早人たちが、チラシや商品を置いていくうちに「今の諫早」を発信するコーナーが、いつの間にか出来上がってしまったのだという。
「なんでもあり!の街の掲示板ってとこかな?」
…とノエルママは屈託なく笑う。
サイフォンで淹れる珈琲は薫り高く、季節に応じた手製のデザートも他では味わえない逸品だ。
いちじくが出回る頃には地元産のもので作った、甘さ控えめのコンポートがメニューに並ぶ。日頃から季節の花々や果物を愛でる楽しさを趣味としているノエルママらしいセレクトだ。
商店街の中に佇む「さらい ド 野絵瑠」。
「今の諫早」を知りたい、旅の途中に美味しい珈琲とデザートで一息つきたい、そう思ったら、ぜひその扉を開けてほしい。
「カランコロン」というドアベルの音とともに、ノエルママのとびっきりの笑顔が迎えてくれるはず。
諫早人の人懐っこさと温かさを感じ、美味しい珈琲とデザートを味わいに、立ち寄ってはいかがだろうか?