【住所】 諫早市東本町1-5
【電話番号】 0957-21-5650
【営業時間】11:00~20:00
【URL】 http://takeoff16.jp/shop/tolga/
諫早市本町アケード近くの本明川沿いにある、コンクリートがうちっぱなしのおしゃれな4階建てのビル。
3階まではTAKE OFFというセレクトショップだが、このビルの最上階に、諫早もりあげガールズとのコラボ企画として「うなタルサンド」を開発したトルガカフェがある。
注文をしてしばらくすると、こんもりと、ふたが持ち上がった竹製のお重が運ばれてきた。
なかには、こんがりと香ばしく焼かれた米粉パンに、お醤油ベースのソースがとろりとかけられた淡い黄色のフィリングが溢れんばかりに、はさめられている。そのフィリングには、ごろりと大き目に刻まれた飴色の塊がいくつも混ざっている。これが諫早名物の『うなぎ』である。
諫早は、まちの中心を本明川が流れ、昔は干満の差が大きい有明海から海水が流れ込み、うなぎがよく獲れた。
そのため、市内には古くからのうなぎ料理店が多く、いまでは諫早の名物となっている。
滋養に富むと言われるうなぎは、その独特の風味から敬遠される場合も多く、近年の価格高騰と相まって、次第に馴染の日本食ではなくなりつつあるようだが、諫早市内では美味しいうなぎを出してくれる店が多く、今でも市民に愛される郷土食となっている。しかし、それは全て和食仕立てのおいしいうなぎである。
「諫早名物のうなぎを、もっとカジュアルに、多くの人に食べてもらいたい」という、もりあげガールズの心意気に賛同してくださった木場社長から話が伝わり、店長の松永さんがうなぎを使った新メニュー開発に取り組み始めたのは、平成25年のまだ暑さの残る9月。
カフェにふさわしい、うなぎを使ったメニューはなにがいいか。
ひらめいたのは、カフェに相応しい洋風メニュー、サンドイッチ。
いろいろ探すと、うなぎに因んだサンドイッチがすでに全国で4~5件開発されていた。栃木では鳥のつくねにうなぎのたれで味を付けた、うなぎ風味のサンドイットもあった。
なかに何をはさむか、どうはさむか、何ではさむか…。
松永さんは、空いた時間を使って試行錯誤を重ねた。
うなぎと相性のよいキュウリを使って、「うざく」を作り、ホットサンドを作ってみたが、キュウリの水分が邪魔をした。
うなぎ入りの卵焼き、「うまき」を作り、うなぎ、うまき、キュウリと重ねてはさんでみたが、具がぽろぽろと零れ落ちて食べにくかった。
テリヤキバーガーは、甘辛いたれとマヨネーズの調和がとれておいしい。
そうであれば、うなぎの甘辛いたれとマヨネーズも合うはずと、玉ねぎ、ピクルスいりのタルタルソースと合わせてみた。
しかし、玉ねぎも、ピクルスも、うなぎ好きにはたまらない、あの「風味」を消し去ってしまう…。
さまざまな試行錯誤の結果、現在のタルタルソースに辿り着いた。
フィリングをはさむパン。
これもいろいろ試した結果、諫早市内のパン屋さんが、諫早産の米を粉にしたものを8割使って焼き上げた米粉パンに辿り着いた。
最近よく見かけるようになった米粉パンだが、普通米粉割合は6割程度。
8割が米で出来ているこのパンは、ずしりと重く腹持ちがいいうえに、うなぎによく合った。
次にどうはさむか、松永さんが最も苦労したのは、この点だという。
米粉パン独特の、焼いた時の外側のパリパリ感、内側のもっちり感を楽しむために焼くことにした。
食べやすさでは、ホットサンドがいちばんだが、パンがひしゃげて、米粉パンのもっちり、ふんわり感がなくなり結局トーストしたパンにはさむ形になった。
次に、何に、どう盛り付けて提供するか。
木場社長が、大村市内の雑貨屋から、京都の公長斎小菅(こうちょうさいこすが)から仕入れた、小ぶりの竹細工の四角い二段重を見つけてきてくれた。
職人技が光るこの二段重は、それだけでも十分な存在感がある逸品だ。
一の重には、6枚切りの米粉パンで作ったうなタルサンドを四つ切にして、二の重には、ドレッシングのかかった季節の野菜サラダと、果物を仕切って盛り込んだ。
こうして、味も見た目も、和と洋の絶妙のコラボレーションが織りなす、諫早新名物『うなタルサンド』が出来上がった。
フィリングが溢れそうなトーストパンの両端をしっかり握り、思い切り口をあけてひとくちかじると、たまごとマヨネーズがこっくりまざった、うなぎ風味のとろりと甘辛いフィリングと、カリカリ食感のもっちりトーストが、口いっぱい、心いっぱいに幸せを広げてくれる。
スープ、ドリンク付き950円。
米粉パンの仕入れの関係で、一日当たりの数量は限定となっているため、これを目当てに行く方は予約をされることをおすすめする。